イヅミ シキ油絵は実は危険も高い画法..。
油絵を描く時間は、私にとって何にも代えがたい至福のひと時です。
ですが先日、私は「揮発性油(溶剤)」が原因と思われる、かなりな大変な肌トラブルを経験しました。
そこで今回は私が体験した経験や揮発性油の間違った使い方をご紹介していきたいと思います。
これから油絵を始めようと思ってる方や油絵を安全に続けたい方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
揮発性油への「慣れ」が生んだ大きな油断
他の溶剤より安全だから、という過信
私が愛用しているのは、多くの作家に支持されている低毒性溶剤、Gamsol(ガムソル)です。
蒸留を繰り返して有害な成分をカットしており、ほぼ無臭。
引火点も高く、スタジオの安全性も高めてくれる素晴らしい画材です。


Gamsolのメリット
- 有害な芳香族成分をほぼ100%カット
- 驚くほど低臭で、長時間の制作でも頭が痛くなりにくい
- 石油系溶剤の中でもトップクラスの安全性
他の揮発性油に比べ安全性が高く、皮膚への刺激もなかったためうっかり素手で触る時間が長くなっていました。
術後の敏感な体調と「素手」での作業
筆を洗うときや、油の量を調整するとき、シャバシャバとした揮発性油が指や手の甲に結構ついていたんです。
「透明だし、ベタつかないし、痛くもないから大丈夫。」
そんな軽い気持ちで、油がついた後もすぐに洗わず、制作を優先していました。
描き終えた後はしっかり流しましたがそれでも翌日あたりから肌に変化が..。
さらに追い打ちをかけたのが、当時の私の体調。
実は全身麻酔を伴う手術を終えたばかりで、免疫力や肌のバリア機能が普段よりずっと過敏な状態にありました。
突然現れた「皮膚炎」の疑い
翌日から現れた「水疱瘡」のような症状
異変が起きたのは、制作から1〜2日後でした。最初は「なんだか腕がむず痒いな」という程度でしたが、両腕を見てびっくりしました。
私に現れた症状(※個人の体験です)
- 手の甲から腕にかけて、広範囲に広がる赤い斑点(紅斑)
- まるで水疱瘡のような、小さく盛り上がった無数のプツプツ
- 痒みとぼこぼことした感触
いわゆる「かぶれ」のような状態ですね。ついた瞬間は無痛なのに、時間差でこれほどの反応が出るとは予想もしていませんでした。



手の甲から肘、足まで尋常じゃないほどの湿疹が出来ました..。
写真をお見せしたい所ですが、集合体恐怖症の方を震え上がらせるレベルの湿疹量なので自重しときます。



いや、ほんとにどうなってんだ‥
皮膚科に行ったところ私の場合多型性滲出紅斑ではないかとのこと。
今回の湿疹は揮発性油が主犯というより、術後の不安定さにとどめを刺す形になった事が原因です。
肌のバリアを破壊する理由
これまで読んでくれた方は『gamsol』は危ないという印象を抱いてしまうかもしれません。
ですが、大切なのは「Gamsolが悪い」のではなく、「揮発性油全般の性質」を理解すること。



そもそも手袋着用と書いてあるのに素手で使った私が100%悪いです。



完全に油断してたな~。
揮発性油は、その名の通り「油を溶かす力」が非常に強い液体。
私たちの肌を守っている皮脂膜も、化学的に見れば「油」の一種です。
たとえ毒性が低くても、肌に触れればバリアをじわじわと溶かし、その奥に刺激が入り込んでしまいます。
手術明けでデリケートだった私の肌にとって、それはあまりに過酷な攻撃になってしまったようです。



今までは特に問題なかったんですが免疫がかなり落ちてたみたい..。



下顎削ってんだもんな。ズタボロだろ免疫。
正直、テレピンや一般的なぺトロールであれば水膨れレベルではすまなかったと思います。
それくらい皮膚への刺激のあるものだということを常に念頭においておくことが大切だなと感じました。
二度と繰り返さない!「自分を守る」3つの方法
① 「ニトリル手袋」を画材の一部にする
まず、素手は完全に卒業しました。
使うのはビニールでもラテックスでもなく、「ニトリル製」の手袋です。
おすすめ手袋
細かい描き込みを諦めたくない油絵描きに。使い捨てなので、片付けの最後に脱いでそのままポイできるのが最高に楽。
筆洗器にジャブジャブ手を入れても大丈夫。破れにくいので、ガシガシ描くスタイルや、大型作品を制作するアーティストの強い味方。
手が荒れている時の最終兵器。厚みがあるのにソフトなので、絵具をたっぷり使うインパスト(厚塗り)技法でも手が疲れにくいです。
3つを比較!
| 比較項目 | アンセル Touch N Tuff | ショーワ No.378PLUS | エステー モデルローブ |
| 主な素材 | 高性能ニトリル(極薄) | ニトリルゴム(裏布付) | ニトリルゴム(中厚手) |
| 描きやすさ | ★★★★★(素手感覚) | ★★★★☆(柔軟で疲れにくい) | ★★★☆☆(標準的) |
| 溶剤への強さ | ★★☆☆☆(使い切り) | ★★★★☆(油に強い) | ★★★★☆(油に強い) |
| 内側の仕様 | 粉なし(薄手) | シームレス編手(裏地有) | 裏毛なし |
| 得意な工程 | 繊細な描き込み・細部 | 長時間の制作・筆洗い | 筆洗い・パレット掃除 |
| ここが推し! | 付けているのを忘れる軽さ | 柔らかくて蒸れにくい | 破れにくくコスパ最強 |
ビニール製は溶剤に弱く、成分が浸透してしまうことがあるため、耐薬品性の高いニトリルが最も安心です。
パウダーフリーの薄手タイプを選べば、素手と変わらない感覚で繊細な筆使いができます。
② 塗るバリア!「皮膚保護クリーム」の併用
手袋をする前に、ボルダースポーツやケロデックスといった皮膚保護クリームを塗るようにするのもおすすめです。
これは肌に物理的な膜を作って刺激の侵入を防いでくれるものです。
手袋の隙間から入る飛沫や、作業後の蒸れ対策として、今では欠かせないお守りアイテム。
より防御力をあげたい方にもおすすめです。
③ 石鹸の前に「オイル」で洗う洗浄ルーティン
手に油や絵具がついたとき、いきなり石鹸でゴシゴシ洗うのは逆効果です。
私はまず、クレンジングオイルやベビーオイルで汚れを優しく浮かせ、ティッシュで拭き取ってから、マイルドな石鹸で洗うようにしています。
これだけで肌のヒリヒリ感が劇的に減りました。
一度「感作」すると、体は忘れてくれない
こうした化学物質によるトラブルで怖いのは、一度「感作(かんさ)」の状態になってしまうことです。
次からはもっと少ない量、もっと短い時間でも同じ症状が出やすくなる可能性がある、という点。
「今まで大丈夫だったから」は通用しません。ある日突然、コップの水が溢れるように反応が始まってしまう。それが感作の本当の怖さだと痛感しました。
制作を一生楽しむためには、この「感作」を未然に防ぐことが何より重要です。



私の場合は悲しいですが前のようには描けなくなりました。



それくらい感作すると制作に関わるんだな‥



だからこそ『ならない』ことが大事だよ。
まとめ:安全こそが、表現を自由にする
今回の経験で、私は「画材を正しく怖がること」の大切さを学びました。
Gamsolのような素晴らしい画材の恩恵を最大限に受けながら長く使い続けるためには、使う側が少しの「ガード」を用意してあげる必要があります。
youtubeなどを見ていると素手で描いている方も結構多く、つい油断してしまいがちです。
手袋の着用はわずらわしさもあるので少しくらいと素手のまま描きたくなるかもしれません。
もし、今この記事を読んでいる方の中で以前の私のように素手で描いている方がいたらぜひ手袋を一枚、はめてみてください。
自分の体を守ることは、大好きな絵を一生描き続けるための、一番大切な「技術」です。



安全って大事なんだな~。



普通に油絵描けないのショック過ぎる。腕すごいことになってるもん。



う、うわ‥(絶句)



皆さんも揮発性油などを使う場合にはぜひ注意してつかってください◎
※本記事は筆者個人の体験に基づく感想であり、特定の製品の有害性を断定したり、医学的な診断を下したりするものではありません。肌の症状や画材への反応には個人差があります。もし肌に異常を感じた場合は、自己判断で対策せず、必ず皮膚科等の専門医を受診してください。







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