前編で「1ヶ月やります」と宣言した実験を、3週間で終了しました。
ですが途中でやめた理由の中に、今回の実験で一番大事な発見があったので、きちんと書き残しておこうと思います。
実験中のデータ
前編で宣言した5項目について、3時点の記録を出します。主観評価、10点満点です。
| 項目 | 7月4日 | 7月9日 | 7月16日(最終) |
|---|---|---|---|
| 集中できた感覚 | 3 | 5 | 4 |
| 内容の記憶定着 | 4割 | 5〜6割 | 7〜8割 |
| スマホを触りたい衝動 | 3(弱め) | 3 | 9(かなり強くなった) |
| 作品の変化 | 0 | 4 | 変化なし |
| 脳疲労・目の疲れ | 変化なし | 日中の重だるさ微減 | 目の疲れは変わらず。ただSNSを見るよりメンタルが軽い |
内容の記憶定着は序盤の4割から最終的に7〜8割まで上がりました。
これは素直に嬉しかった変化です。
イヅミ シキ寝ると本はすごく定着する感じがしました。



SNSは忘れがちなのにな。
一方でスマホを触りたい衝動は、序盤こそ弱まっていたのに最終的には9まで跳ね上がっていました。
本を読んでいる間は静かでいられるけど、やめた瞬間にスマホに引っ張られる感覚は最後まで消えなかった、ということだと思います。
目の疲れそのものは変わらなかったけど、「見た後のメンタルの重さ」はSNSを見るよりは軽かった。
気づいたら、仕事の勉強になっていた
実験の途中から、ペットショップの業務に関する知識吸収に本を使っていました。
鳥の生態、動物の扱い方、生体知識。
「絵の学習を本だけにする」という実験だったはずが、気づけば仕事の勉強にがっつり移行していた。
これ自体は悪いことではないんですが、実験としての純粋な比較にはならなくなっていました。
それも、3週間で終了を決めた理由のひとつです。
なぜ3週間で終了したのか
一番の理由は、「広く知りたいときに不便」だということです。
本は一点を深く掘ることが得意です。
でも、ネットは広く知ることができる。
途中から私が必要としていた情報の性質が「広さ」の方に傾いていて、そこで本の限界を感じました。



あれって何だっけ?がすぐに調べられなかったり。
それから、私の本の使い方が最初のイメージとずれていた。
「技法書を読んで上達する」じゃなくて、「鳥を描きたいから鳥の本を読む」という参考資料的な使い方になっていました。
絵の技術的なアドバイスとしては少し物足りなかったです。
もうひとつ。知識の吸収が楽しくなりすぎて、描かなくなっていました。
もともとネット検索癖が強い方なので、インプットの媒体が本に変わっても、インプット過多になってアウトプット(実際に描く)が減るという状況が起きていました。
これは本の問題というより、自分の性質の問題です。描くスピードが落ちたのも、ここが原因だと思っています。
それでも、本のここが良かった
やめた話ばかり書きましたが、「本がネットより圧倒的に良かった」という発見があって、それが今回の実験で一番価値があったことだと思っています。
それは、情報の精度が全然違うこと。
ネットで鳥の写真を探して描くのと、研究者や学者が書いた本を読んでから描くのでは、描く前の「理解の深さ」がまったく違いました。
ネットだと「こういう見た目の鳥」として処理してしまいがち。
でも本だと、「なぜこの形なのか」「この行動にはどういう意味があるのか」「オスとメスでどう違うのか」まで知れる。
その「なぜ」を知っているかどうかが、絵の説得力に直結すると実感しました。
ネットで調べていたときはサイトをいくつも開いて、海外のものも漁って、でも欲しい情報がバラバラで……という経験をずっとしていました。
本は一冊の中に8〜9割の情報がまとまっている。
この「まとまっている」という体験が、思っていた以上に快適でした。
本という媒体そのものへの信頼
実験を通してもうひとつ気づいたことがあります。
「本を書く」という行為自体がどれだけ大変かということです。
ブログ記事を書くのも決して楽じゃない。でも、本と比べたら段違いだと思っています。
本文の構成、デザイン、編集、校正——かかる手間の量が全然違う。
それだけじゃなくて、一冊書き上げるためには長い時間と、その分野への深い知識と経験と、純粋な「好き」がないと続かないはずです。
代筆という形もあるけれど、大学教授や研究者が自分の名前を出して書いた専門書は、それだけで信頼の根拠になる。
特に骨格や生き物の生態のような、正確さが問われる分野では、「著者が誰か」「どんなバックグラウンドの人が書いたか」が情報の質に直結します。
私がいつもネットで調べていたときは、そこまで意識していなかった。
でも今回、鳥の本を読んで「なぜそういう構造になっているのか」を理解してから描いてみて、その差を体感しました。
土台の知識がしっかりしているという安心感は、描くときの確信みたいなものにつながる気がしています。
3週間の実験を終えた結論
「本だけにする」ことを実験してみて、わかったのは意外にもこれでした。
「何を得たいかで、使うツールを変える」
私なりの整理はこうです。
- 参考写真・ビジュアル資料 → ネットの方が優れている
- 対象を深く理解する・知識の土台をつくる → 本の方が圧倒的に優れている
- 広く情報を集める・最新情報を得る → ネットの方が向いている
- 発信の根拠となる情報の質を上げる → 本の方が信頼性が高い
「全部本に替える」は難しくても、「ダラダラSNSを見る時間を、本を読む時間に替える」だけで、情報の質も集中の質も変わると実感しています。


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